観光
海と空が一望できる、葉山・三ヶ岡山緑地の歩き方
葉山といえば海——そのイメージの裏に、標高約140mの豊かな緑地が息づいている。県立はやま三ヶ岡山緑地は、3つのハイキングコースを持つ「都市林」。山頂広場や展望デッキからは相模湾と富士山が一望でき、「関東の富士見百景」にも選ばれた絶景スポットだ。
葉山の海岸線に立つと、背後にこんもりとした緑の丘陵が広がるのに気づく。それが県立はやま三ヶ岡山緑地だ。面積29.6ヘクタール、葉山町一色・堀内にまたがるこの緑地は、野生動植物の保護を目的とした「都市林」として神奈川県が管理する県立公園。ヨットや海水浴で知られる葉山に、こんな山歩きの場所があるとは意外に思う人も多いかもしれない。しかし地元の人たちにとっては、早朝の散歩コースやトレイルランの舞台として長く愛されてきた、ごく身近な自然の場所だ。
緑地内のハイキングコースは3本。東側の「つつじコース」は、逗子駅・逗子・葉山駅から京急バス(長井行き・横須賀市民病院行き・大楠芦名口行きいずれか)に乗り、「旧役場前」バス停で降りて徒歩約2分で登り口に着く。3コースの中ではもっともなだらかで歩きやすく、ファミリーや山歩き初心者にも向いている。西側の「真名瀬コース」は、逗子駅・逗子・葉山駅から海岸回りの京急バスで「真名瀬」バス停下車、徒歩約3分。海に近い側から一気に尾根を目指す急傾斜の階段が続くが、その分すぐに眺望が開ける。「あじさいコース」の入口も「真名瀬」バス停から向かえるが、あじさい公園を経由するため徒歩約30分とやや遠い。なお、緑地には駐車場がないため、公共交通機関の利用が前提となる。
どのコースから登っても、尾根道で3つのルートは合流する仕組みになっている。緑地内には西峰(真名瀬山)・三ヶ岡(大峰山)・東峰(一色浅間山)の3つのピークがあり、尾根道を歩きながら順に回れる。最大の見どころは、西峰近くに設けられた展望デッキと山頂広場。展望デッキからは相模湾の大パノラマと、天気の良い日には丹沢山系の稜線まで望むことができ、国土交通省が選定する「関東の富士見百景」に名を連ねるビュースポットだ。山頂広場からも森戸海岸方面への眺望が広がり、眼下には葉山御用邸の緑も見える。尾根道にはベンチや四阿(あずまや)が設けられているので、眺めを楽しみながらゆっくり休憩できる。
緑地の魅力は眺望だけではない。丸太階段の両脇に咲く花々が、季節ごとに表情を変える。春先はヤマザクラやキブシが咲き、フジの香りが漂う季節が続く。初夏にはアジサイ、夏にはノカンゾウ、秋になると山全体が紅葉に染まり、園路沿いにはマユミやムラサキシキブの実が色づく。入園は年中無休・24時間・無料。ただし園内にトイレと水場はないため、事前に各コース入口付近(真名瀬コースは芝崎バス停、あじさいコースはあじさい公園、つつじコースは葉山御用邸前の公衆トイレ)で済ませてから入るのが鉄則だ。登りを終えた後は、真名瀬海岸へ下りて、葉山灯台や名島の赤い鳥居を眺めながら一息つくのが、地元に親しまれている定番の締めくくりとなっている。


