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海水を飲みに来る緑の鳥 - 大磯・照ヶ崎海岸でアオバトに会いに行く
神奈川県の天然記念物に指定された照ヶ崎海岸には、毎年5月ごろから丹沢山地のアオバトが群れで飛来する。いつ・どこで・どのように観察すればよいか、現地の情報をまとめた。
相模湾を見渡す大磯港のすぐ脇に、小さな岩礁が顔を出している。砂浜と岩場が混在するその一角が「照ヶ崎海岸」だ。一見どこにでもある湘南の海岸風景に見えるが、春から秋にかけての早朝だけは様子が一変する。丹沢山地の高所で暮らすアオバトの群れが、遠路はるばる海水を飲みに飛来するのだ。この光景は全国でも希少で、「大磯照ヶ崎のアオバト集団飛来地」として神奈川県の天然記念物に指定されている。大磯町はアオバトを「町の鳥」にも定めており、地域を代表する自然の宝として大切にされてきた。
アオバトは全長約33センチメートル、全身がオリーブ色の美しいハトだ。オスは肩の部分がブドウ色になっているため、双眼鏡越しでもオスとメスの区別がつきやすい。普段は山の森に暮らし、ヤマザクラやノブドウなどの果実を主食にしている。果実にはカリウムは含まれるがナトリウムがほとんどないため、不足したナトリウムを補うために海水を飲みに来るというのが現在の有力な説だ。ただし詳しい理由はまだ完全には解明されていない。命がけで荒波の岩礁に降り立ち、砕ける波をかわしながら海水を吸い込む姿は、見る者に強い印象を残す。
飛来の時期は毎年5月初旬から10月ごろまでで、ピークは7月・8月の梅雨明け後の晴天日だ。観察に適した時間帯は日の出から午前10時ごろまでと夕方で、日が高くなるにつれて飛来数は減っていく。地元の野鳥観察グループ「こまたん」が長年にわたって飛来記録をつけており、その公式サイトでは月別の飛来羽数・飛来回数が公開されている。多い日には1日で延べ数千羽が岩場に降り立つこともある。観察は定点で行う形式のため、双眼鏡や望遠鏡があると岩礁の細かな様子まで楽しめる。日陰がほぼないため、帽子と飲み物は必需品だ。
こまたんは毎年5月から9月の毎月最終日曜日、午前6時から9時に照ヶ崎海岸でアオバト観察会を開いている。スコープを多数用意してくれるため、機材がなくても参加できる。費用は無料で、観察前に15分ほどの海岸清掃も行われる。アクセスはJR東海道本線・大磯駅から徒歩約10〜12分。車の場合は大磯港の駐車場が利用できる。大磯という町自体が歴史的な邸園や旧吉田茂邸などの見どころを多く持つため、午前中にアオバトを観察したあと、周辺を散策するコースもおすすめだ。

