文化
縁を結びに、鎌倉へ - 恋愛成就・良縁祈願で知られる神社と参拝の作法
鎌倉には、縁結びや恋愛成就にゆかりのある神社・寺院が点在している。山の中の静かな社、由比ヶ浜を見下ろす丘の寺、そして鎌倉随一の大社に宿る「隠れパワースポット」——それぞれの由緒と参拝のポイントを紹介する。
鎌倉は、鶴岡八幡宮をはじめとする社寺が密集する土地だが、観光の定番コースでは見落とされがちな縁結びスポットも少なくない。銭洗弁財天のような金運祈願とはひと味異なる、縁や恋にまつわる場所を訪ねることで、鎌倉めぐりに新しい視点が加わる。
鎌倉駅西口から源氏山方面へ延びるハイキングコースを進んだ先に、縁結びの社として知られる葛原岡神社がある。御祭神は、後醍醐天皇の忠臣として幕府打倒に尽力しこの地で命を落とした日野俊基卿(ひのとしもときょう)。明治20年(1887年)、その功績を讃えた明治天皇によって創建された。由比ヶ浜の鎮守として地域に根ざすこの神社が縁結びの場として親しまれているのは、境内に祀られている縁結び石に由来する。縁結び石のご祭神は大国主大神。御神体は二宮尊徳邸内の楠木で作られたと伝わる由緒あるもので、その御霊を「男石」「女石」の二つの石にお迎えし、「縁結び石」として祀っている。参拝の作法は、社務所で授与される縁むすびのお守りについた赤い糸に五円玉を通し、この縁結び石のしめ縄に結びつけること。境内にはほかにも、悪縁を絶つとされる「魔去ル石」や、昇運を願う「昇運の神龍」の碑なども立つ。鎌倉駅西口から徒歩約35分、または北鎌倉駅から葛原岡ハイキングコースを歩いて約30分という道のりは、山道を抜けた先の静かな境内が旅情を深めてくれる。住所は鎌倉市梶原5-9-1、社務所の受付は8時30分から16時30分まで(境内は常時自由参拝)。
江ノ電の長谷駅と極楽寺駅の間、極楽寺坂切通しの途中に位置する成就院は、真言宗大覚寺派の寺院で正式名称を普明山法立寺成就院という。弘法大師・空海が諸国巡礼の折に護摩修法を行ったとされる霊跡に、鎌倉幕府第3代執権・北条泰時が1219年に建立した。境内への階段は108段あり、山上の本堂からは由比ヶ浜を一望できる。縁結びの御利益で知られるのは、本堂に祀る本尊不動明王の御分身として境内に安置された「縁結び不動明王」。護摩木にお願い事を書いて不動明王護摩壇でご祈願することができる。また、子授け・安産・子育てにご利益があるという子安地蔵と子生み石も境内に置かれており、縁や家族にまつわる祈りを重ねられる場として多くの参拝者が訪れる。公式サイト(jojuin.com)によると拝観時間は8時から17時(11月1日〜3月1日は16時30分閉門)、拝観料は志納。最寄りは江ノ電極楽寺駅で徒歩約3分、または長谷駅から徒歩約6〜7分。住所は鎌倉市極楽寺1-1-5。
鎌倉の入口ともいえる鶴岡八幡宮にも、知る人ぞ知る縁結びスポットがある。鶴岡八幡宮の三の鳥居をくぐり東側に広がる源氏池、その池の小島に建つ旗上弁財天社の社殿裏手に「政子石(姫石)」と呼ばれる石が二つ並んでいる。源頼朝が妻・北条政子の懐妊に際して安産を祈願したと伝わる石で、古くから良縁・夫婦円満のご利益があるとして信仰を集めてきた。朱塗りの旗上弁財天社は昭和55年に江戸時代の古図をもとに再建されたものだが、春には社殿前に白藤が咲き、源氏池を眺める景観は四季折々に美しい。鶴岡八幡宮は開門時間が通年6時から20時(公式サイト・hachimangu.or.jpによる)で、境内への参拝は無料。住所は鎌倉市雪ノ下2-1-31、JR鎌倉駅東口から徒歩約10分。縁結び守りは授与所で受けることができる。縁結びを目的に鎌倉を訪れるなら、格式ある鶴岡八幡宮の参拝を起点にしながら、山の中の葛原岡神社や由比ヶ浜を望む成就院にも立ち寄ることで、それぞれの社寺が持つ由緒と自然の中の静けさをあわせて味わうことができる。
