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明治創業の蔵元を継ぎ、ビール文化を根付かせた6代目
日本酒の蔵元が、なぜ地ビールをつくり始めたのか。
明治5年創業の熊澤酒造を6代目として継いだ熊澤茂吉氏は、1996年に「湘南ビール」の醸造を始めた人物である。24歳で廃業寸前の蔵を継いだ熊澤氏は、理想の味と職人を求めて何度もドイツに渡り、ミュンヘン周辺のブリュワリーで出会ったヴァイツェンボック、ヘレス、アルトの3種類から湘南ビールをスタートさせた。工場で大量生産される画一的な味のビールとは違う、豊かなコクと味わいを持つビールをつくりたいという日本酒の造り手ならではの自然な欲求から始まったこの取り組みは、四半世紀以上にわたって受け継がれてきた。
無濾過・非加熱で仕上げられたビールには、酵母が生きたまま入っている。ドイツ系黒ビール「シュバルツ」は、2008年度ワールド・ビア・カップのドイツ系黒ビール部門で金賞を受賞している。6代目として蔵を背負い、酒造りとビール造りを続ける熊澤氏の姿勢は、地域に根ざしたものづくりのひとつの理想形を示しているといえるだろう。
熊澤氏のもとでは、ビールの醸造だけでなく、敷地内のベーカリーやレストランの運営も手がけてきた。単に商品を売るだけでなく、訪れた人が一日中滞在して楽しめる「場」をつくるという発想は、地域の観光と経済の両方に貢献する取り組みといえる。伝統を守りながら新しい価値を生み出し続けるその姿勢は、老舗が長く生き残るためのひとつのモデルケースだと言えるだろう。
伝統を守りながら新しい挑戦を続けるという姿勢は、老舗が長く生き残るためのひとつの模範だ。熊澤氏の取り組みは、これからも茅ヶ崎の誇りであり続けるだろう。
熊澤酒造の見学や飲食利用は事前予約が必要な場合もあるため、訪れる際は公式サイトなどで最新の営業情報を確認しておきたい。敷地内は広く、ビールだけでなくパンやイタリアンも楽しめるため、半日ゆっくり過ごすつもりで訪れるのがおすすめだ。
熊澤酒造そのものを紹介する「企業・店舗」カテゴリの記事とあわせて読むことで、6代目が受け継いできたものの大きさがより実感できる。
敷地内のレストラン「MOKICHI TRATTORIA」「蔵元料理 天青」の利用者向けには、予約時の申し込みで簡単な敷地内ガイドも行われている。

