文化
「勝手にシンドバッド」が生まれた海の街
桑田佳祐の地元・茅ヶ崎は、楽曲の中で何度も歌われてきた。
サザンオールスターズのリーダーである桑田佳祐の出身地である茅ヶ崎は、デビュー曲「勝手にシンドバッド」をはじめ、数々の楽曲の歌詞の中に繰り返し登場してきた街である。「チャコの海岸物語」の歌詞に登場する「えぼし岩」(正式名称は姥島)は、茅ヶ崎海岸の沖合約1.4キロメートルにあり、防砂林の間からは大きく見えるのに、砂浜に出ると逆に小さく見えてしまうというのも、地元では知られたエピソードのひとつだ。明治31年に開設された「茅ヶ崎海水浴場」は、平成11年に「サザンビーチちがさき」へと改称された。
ビーチにはモニュメント「茅ヶ崎サザンC」が設置されており、その円の中にえぼし岩を収めて記念撮影をするのが定番の楽しみ方になっている。地元・茅ヶ崎公園野球場を舞台に開催されてきた「茅ヶ崎ライブ」は、2000年、2013年、2023年と、これまでに3度しか行われていない特別な公演であり、地元にとって特別な意味を持つイベントであり続けている。ひとりのミュージシャンの音楽が、これほどまでに地域のアイデンティティと分かちがたく結びついている例は、湘南の中でも珍しい。
デビュー45周年にあたる2023年には、サザンオールスターズとして7月から3か月連続で新曲を配信リリースするなど、長年にわたって精力的な音楽活動を続けている。地元の風景を織り交ぜた楽曲は、聴く人に茅ヶ崎という土地の空気感をそのまま届けてきた。楽曲を通じて全国に届けられてきた茅ヶ崎の海の情景は、実際に現地を訪れたことがない人々のあいだにも、湘南という土地への憧れを育ててきたと言えるだろう。
楽曲を通じて茅ヶ崎の風景を全国に届け続けてきたという事実は、音楽が持つ力の大きさをあらためて教えてくれる。実際に訪れる前から、多くの人がこの土地に親しみを感じているのはそのためだろう。
茅ヶ崎駅周辺には桑田佳祐や楽曲にまつわるスポットが点在しており、駅から歩いて巡ることができる規模感も、訪れやすさにつながっている。サザンビーチちがさきや茅ヶ崎サザンCまでは駅から徒歩圏内で、音楽ファンでなくても気軽に立ち寄れる散策コースになっている。
桑田佳祐氏本人を紹介する「人」カテゴリの記事や、茅ヶ崎ライブの記事とあわせて読むことで、茅ヶ崎という街の音楽文化をより深く知ることができる。
地元の商店の中には、サザンオールスターズにちなんだオリジナルグッズや商品を扱う店もあり、ファンにとっては見逃せない散策コースになる。

