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「混血孤児の母」の125年——大磯町郷土資料館で澤田美喜の生涯をたどる企画展、10月4日まで
戦後の大磯に孤児院を創設した女性の、知られざる足跡。エリザベス・サンダース・ホーム所蔵の関係資料とともに、その生涯と業績を紐解く。
大磯町郷土資料館で、「澤田美喜 生誕125年を迎えて ―今ふり返る澤田美喜が残したもの―」と題した企画展が開催されている。会期は2026年8月29日(土)から10月4日(日)まで。入館は16時30分まで、開館時間は9時から17時。休館日は毎週月曜日(祝日を除く)と毎月1日、9月24日(木)。
澤田美喜(1901〜1980)は、三菱財閥創始者・岩崎弥太郎の孫娘として生まれた。成長して外交官・澤田廉三に嫁ぎ、海外生活を経てクリスチャンとしての信仰を深めた彼女が、生涯をかけて取り組んだのは「戦争が生み出した命」の救済だった。第二次世界大戦後、駐留連合国軍兵士と日本人女性との間に生まれながら、親にも社会にも受け入れられずに捨てられていく混血孤児たちの現実を目の当たりにした美喜は、財閥解体で岩崎家の手を離れた大磯の別邸を、苦心の末に買い戻す。そこに1948年、「エリザベス・サンダース・ホーム」と名付けた乳児院を創設した。
わずかふたりの乳児から出発したこのホームは、その後2000人を超える子どもたちを育て社会へ送り出していく。美喜は1953年に聖ステパノ学園小学校を、1959年には中学校を設立し、自ら校長となって子どもたちの成長を見守った。財政難や世間の偏見と戦いながら、手紙を書き続け、里親や就職先を探し続けた彼女は、1980年にスペインで急逝するまで、その歩みを止めなかった。また、美喜は隠れキリシタンの遺品をはじめとする貴重な歴史資料を874点も収集したコレクターでもあり、それらの資料は現在、大磯の澤田美喜記念館に収蔵されている。
本企画展では、エリザベス・サンダース・ホーム所蔵の関係資料とともに澤田美喜の業績を紹介。大磯の地で生まれた人道的営みを改めて問い直す機会となっている。会場となる大磯町郷土資料館は、JR東海道本線「大磯駅」から徒歩約30分(バスなら「城山公園前」下車徒歩5分)。大磯港や旧吉田茂邸とあわせて訪れると、この海辺の町が刻んできた多彩な歴史の断片が浮かび上がってくる。