観光
混雑ゼロの古都をひとり占め——鎌倉を早朝に訪れるための完全ガイド
早朝の鶴岡八幡宮から北鎌倉の禅寺めぐりまで。早朝ならではの開門時間と、人波が来る前に動くための具体的なコースを整理した。
鎌倉がもっとも混雑するのは、週末の午前10時から午後3時にかけての時間帯だ。逆にいえば、その前に動き始めてしまえば、観光客が到着する頃には主要スポットをひととおり回り終えることができる。早朝の鎌倉は、地元の人が犬を連れて散歩し、ランナーが由比ヶ浜を走る、まったく別の表情を持つ町だ。このガイドでは、開門時間と移動動線を具体的に整理しながら、早朝観光の手順を紹介する。
鎌倉観光の起点として最も使いやすい早朝スポットが、鶴岡八幡宮だ。開門は季節を問わず午前6時。お守りや御朱印の授与は通常8時30分からとなるが、開門直後は参拝客がほとんどおらず、朱塗りの社殿や太鼓橋、源平池を背景にした写真を人が写り込む心配なく撮影できる。段葛(鶴岡八幡宮への参道)は夜明けの光の中で静かに続いており、早朝散策の出発点として申し分ない。参拝後は若宮大路を南へ歩いて由比ヶ浜へ出れば、深い藍色から橙色へと変わる海の色を、ランナーや散歩客に混じって眺めることができる。
北鎌倉エリアは、禅寺の朝が格別だ。円覚寺では毎朝6時から「暁天坐禅会」が行われており、事前予約なしで参加できる(志納。毎月1日・15日などは休会)。坐禅会が終わる頃には7時過ぎになるが、境内には広大な老杉の森と池が静かに広がり、一般の観光客が来る前のわずかな時間を独占することができる。拝観時間は3月〜11月が8時30分〜16時30分、12月〜2月が8時30分〜16時となっているため、坐禅会の後にそのまま境内をゆっくりと巡るのがおすすめだ。JR北鎌倉駅から徒歩約1分というアクセスのよさも魅力だ。建長寺は拝観開始が8時30分。北鎌倉駅から徒歩約15分で、円覚寺の参拝を終えてから向かうとちょうど開門に合わせて到着できる。拝観料は大人500円。鎌倉五山第一位に数えられるこの禅寺には、国宝の梵鐘も伝わっている。
鎌倉大仏(高徳院)の拝観は8時から始まる(4月〜9月は17時30分まで、10月〜3月は17時まで)。江ノ電「長谷駅」から徒歩約7分。朝のうちは境内が静かで、770年以上の時を経た大仏をゆっくりと仰ぐことができる。長谷周辺は通り沿いにベーカリーやカフェが点在しており、8時前後から開いている店もある。早朝に鎌倉大仏を訪れてから長谷周辺で朝食をとるルートは、午前中のうちに主要スポットを網羅できる効率的な動線だ。なお、竹寺として知られる報国寺(浄明寺エリア)の拝観は9時開始なので、鶴岡八幡宮→建長寺・円覚寺(北鎌倉)→鎌倉大仏→報国寺という順で巡ると、それぞれの開門時間に無駄なく合わせることができる。混雑が始まる10時頃には、すでに鎌倉の核心部をひととおり歩き終えているはずだ。早朝に来るなら、前泊か始発の活用がカギになる。東京・新宿方面からは、JR横須賀線の早朝便を使えば北鎌倉に7時前後に着くことも難しくない。古都のほんとうの静けさは、人波が届く前の限られた時間にしか存在しない。
