観光
2000本の竹が揺れる、鎌倉の「竹寺」
足利・上杉両氏の菩提寺として栄えた禅宗寺院の、静かな庭。
報国寺は、建武元年(1334年)の創建と伝えられる、臨済宗建長寺派の禅宗寺院である。足利尊氏の祖父・家時を開基、天岸慧広を開山として創建されたと伝わり(宅間谷に住んだ上杉重兼による開創ともいわれる)、足利氏と上杉氏ゆかりの寺として長く栄えてきた。境内の孟宗竹の林が有名で、「竹寺」の愛称で広く知られている。
竹林の中には小径が通り、その奥には茶席「休耕庵」が設けられている。開山の天岸慧広が元から帰る途中に詠んだ詩を集めた『東帰集』は国の重要文化財で、鎌倉国宝館に寄託されている。木漏れ日が竹の間から差し込み、風が吹くたびに竹の葉が触れ合うかすかな音が響くこの空間は、観光地としての賑わいとは一線を画した、静けさそのものを味わう場所になっている。
報国寺は外国人観光客からの人気も高い。竹の庭の拝観には拝観料が必要で、別に抹茶券を求めれば、竹林内の茶席で抹茶をいただきながら景色を楽しむこともでき、静かな時間を過ごしたい観光客にとって特別な体験になっている。
毎週日曜日の朝7時30分からは、坐禅会も開かれている。鶴岡八幡宮や小町通りの賑わいから少し離れた金沢街道沿いに位置するこの寺は、鎌倉が持つ「静」の魅力を最も色濃く感じられる場所のひとつだといえるだろう。
竹の庭を出た先には、石窯で焼いたパンや紅茶が楽しめる洋館レストランを併設した浄妙寺もあり、金沢街道沿いのこのエリアは寺院巡りとカフェ巡りの両方を楽しめる散策コースになっている。報国寺の記事とあわせて、金沢街道周辺の他の寺院も訪ねてみると、鶴岡八幡宮周辺とはまた違う、静かで奥深い鎌倉の魅力に出会えるはずだ。
坐禅会に参加する場合は、詳しい案内を公式サイトで確認し、少し早めに到着しておくと安心だ。
竹林の静けさに包まれるひとときは、観光地としての鎌倉とはまた違う、心が落ち着く特別な体験になる。
静けさを求める旅人にとって、報国寺は鎌倉の中でも特に価値のある場所であり続けるだろう。
その静けさは、何度でも味わう価値がある。
竹林を抜ける風の音に耳を澄ませる時間を、大切にしたい。
竹林の中で過ごすわずかな時間が、旅の記憶の中で特に印象深いものになるはずだ。